読書感想 - DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる
コロナ下の中、多くのビジネスではDXが必要だと叫ばれているものの、DXとは何なのか?という問うと各人抽象的な捉え方をしているようであり、
また、自分もその一人であった。
ビジネスにおいて、抽象的な理解のままDX推進などと口にしても何の説得力もないだろう。
少なくとも自分の口で話すことにはある程度の背景理解を含んだものにしておきたい。
そういった理由から「DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる」という書籍を選択して読んでみた。
以下はこの書籍を読んだ中での自分の理解を記していく。
DXとはなにか?
DXとはデジタルを利用して、既存の市場を破壊し新しい価値を想像することである。 或いは、そういった価値を破壊しにくる驚異からデジタルを利用した組織を構築し、防衛することである。
なんとも抽象的ではあるが、要点は以下になるだろうか。
- デジタルを利用すること
- 既存価値の破壊と新たな価値の想像
- 或いは既存価値をアップデートすることによる破壊に対する防衛
これらの要素は書籍中では以下のような言葉で表現されている、DXを語る場面ではこのような単語が頻出するので覚えておくと良いだろう。
用語 | 意味 |
---|---|
ディスラプター | 既存価値を破壊し、新しい価値を市場に作り出そうとするもの |
デジタルネイティブ | 生まれながらのデジタル企業、ディスラプターと呼ばれる企業の多くはデジタルネイティブである |
サイロ化 | 縦割りのこと、書籍中では縦割り組織構造のことをサイロ化した組織として表現されている |
デジタルを利用するとはどういうことか?
さて、DXではデジタル技術を利用するということは誰もが何となく感じ取れていることだろうと思う。
しかし具体的にデジタルを利用すると、なぜDXなのか?という点を理解するのは難しいだろう。
書籍の中では「デジタル技術を利用するだけでは、それはDXとは言わずただのデジタル化だ」と書かれている。
では何をすればDXになるのだろうか?
書籍にかかれていることを要約すると以下のような理解になる。
サイロ化した組織の壁をデジタル技術を利用して取り払い、組織ないの情報を横断的に活用可能にし、また、各組織内部署の結びつきを縦割り構造から蜘蛛の巣のようなネットワーク構造にすること。
こう書いてみるとデジタル技術というのは、組織構造を変えるための要素の1つでしかないことになる。
これは書籍のスタンスでもあるのだが、DXを行うためにはまずは組織構造を見直そうという主張であるため、ディスラプターになる(或いはそれから市場を守る)ためには、組織構造を見直すことから始めるのがDXだということとなろうか。
※書籍内ではDXのことをDBX(Digital Business Transformation)と表現している
書籍では上記を踏まえた上で、組織内の仕事を細分化しながらどういったことをすればいいのか?という点が記されている。
具体的な内容は参考程度なのだろうが、重要なのは書籍内で何度も書かれる「組織のオーケストレーション」ということであり、組織構造をネットワーク側にして動かしていくことなのだろう。
これがDXであるなら、トップダウンのもとにDXを推進するのが好ましい。
実際のビジネスではボトムアップ或いは、全くの孤立したチームからDX推進が始まるケースも多くあるだろうし、
そういった観点で見た場合にどういう戦略を取るべきか?という点についてはヒントの1つとして捉えると良いのかと思う。
なお、この書籍はシリコンバレー流DXをベースに書かれていると思われるが、日本国内で言われるDXはまた背景が異なっているためこの書籍でDXの全てが分かるものではない。
あくまでも、DXを理解するための一助として書籍で得た知識を利用していけると良い。